■Research Activities Team Research 1997

転換期における法と社会

「進歩」・「発展」・「成長」といった言葉を、未来へのプロセスに関して何のためらいもなく使って図式を描いてきた時代は終わりました。現在の成功は明日の成功を約束しません。それどころか、福が転じて禍いとなる可能性さえあります。レッセ・フェールの時代に「最小限の夜警国家のルール」であった法は、たしかにある時期、「ソーシャル・エンジニアリングの手段」へと機能変化させましたが、法がより良き未来を築くための軌道であることに変わりはありませんでした。  しかし未来はいまや不確実性の霧の中にあります。現に突き付けられた問題の解決のために何かの策を講じたとしても、その策自身が新たな害悪を惹き起こすかもしれない、といったディレンマにわれわれは直面していないでしょうか。  さまざまなところに見られるこうしたディレンマの中で、法は何をなすべきか(何をしてはならないか)、何であるべきか(何であってはならないか)、といった問いが必要です。もちろん、それは確定的な答えが可能な問いではなく、模索的・一時的で多様な「試問」しか期待できない問いではありますが。このプロジェクトはそれへのささやかな「試掘」です。

代表者 石井 紫郎 国際日本文化研究センター
Organizer 上垣外憲一 国際日本文化研究センター
Team Researcher 井上 達夫 東京大学大学院法学政治学研究科
井上 治子 名古屋文理短期大学
長瀬  修 翻訳家
永田えり子 東京工業大学工学部
宮地 尚子 近畿大学医学部
森岡 正博 大阪府立大学総合科学部
吉澤 夏子 日本女子大学人間社会学部
鷲田 清一 大阪大学文学部
鄭  暎惠 広島修道大学人文学部
落合恵美子 国際日本文化研究センター