■研究活動 共同研究 1996年度

魔女と気候の文明史―アニミズム世界の再発見

「魔女を生かしておいてはならない」これは旧約聖書の出エジプト記の一節です。魔女を生み出す背景には森林の破壊や気候変動といった地球環境の破壊とそれから派生する食料危機や疾病が深く関わっていました。14~17世紀のヨーロッパでは魔女裁判の嵐が吹き荒れました。その背景には小氷期の気候悪化とペストの大流行が深く関わっていたのです。本研究では魔女を大地母神の系譜を引く者として位置づけ、魔女を生みだした背景を歴史気候学や、医学、公衆衛生学、森林生態学、心理学などの自然科学の諸領域との関わりにおいて探求します。21世紀は人口爆発と食料危機そして森林破壊と気候変動、環境汚染といった地球環境の危機に直面することは目に見えています。その時、ふたたび魔女裁判の嵐が吹き荒れないとも限りません。すでにネオナチズムやヒンドゥー原理主義の台頭にみられるようにその兆しさえ見えます。その時日本人が世界の魔女にされないためにも、現代の地球を支配する欧米文明が抱える闇としての魔女とはいったい何者であったかを、地球環境問題のなかで再検討しなおす必要があります。

代表者 安田 喜憲 国際日本文化研究センター
幹事 笠谷和比古 国際日本文化研究センター
黒須 里美 国際日本文化研究センター
班員 阿部 康郎 名古屋大学文学部
伊東俊太郎 麗澤大学国際経済学部
井上 正美 立命館大学
植田 重雄 早稲田大学
上山 安敏 奈良産業大学法学部
鎌田 東二 武蔵丘短期大学
河合 俊雄 京都大学教育学部
蔵持不三也 早稲田大学人間科学部
篠田知和基 名古屋大学文学部
杉村 和子 元京都橘女子大学教授
薗田  稔 京都大学総合人間学部
立川 武蔵 国立民族学博物館
田中 貴子 梅花女子大学文学部
豊田 園子 カウンセラー
長野 晃子 東洋大学文学部
中元 藤茂 奈良県医師会看護専門学校
中村 賀子 市邨学園短期大学
辺見 葉子 北里大学一般教養センター
牧   純 北里大学医学部
吉田 敦彦 学習院大学文学部
吉野 裕子 民俗学者
井波 律子 国際日本文化研究センター
山折 哲雄 国際日本文化研究センター
栗山 茂久 国際日本文化研究センター
梅原  猛 国際日本文化研究センター
樋口 隆康 国際日本文化研究センター
岡部あおみ 国際日本文化研究センター