■研究活動 共同研究 1989年度

日本型モデルのメリットとデメリット

国際比較の視点に立つとき、日本人およびその構成する日本社会には、伝統的文化に基礎づけられた独自のシステム特性が見出される。このことはおよそ自明な事柄に属している。だが「日本らしさ」とでもいうべき、そうした文明・文化的特異性の構造と機能について、十分な社会科学的分析が加えられていない。  本研究は、第一に、生活システムの諸側面(人間観・行為類型・対人関係・文化型・組織形態等)に関して、「日本らしさ」を明確化するための理論モデルの構築を試みる。その構築作業に当たっては、これまで普遍的に妥当するとされていた方法論的個人主義(methodological individualism)の再検討と、それに基づく、新たな分析パラダイムの設定を行いたい。第二に、日本型モデルのメリットとデメリットに関して、イデオロギー的にではなく、客観的なアクセスメントを学際的に加える。その評価作業では、社会科学・人間科学の諸領域の研究者の協力を得て、世界観・価値観・生活規範や慣習・宗教・芸術・精神的、社会的病理現象・法律・政治・行政・教育・経済・経営・貿易など、生活システムの諸領域にわたって慎重に検討し、これからの国際化・情報化において日本型モデルが一つの指標たりうるかどうかを調べたい。

代表者 濱口 惠俊 国際日本文化研究センター
幹事 園田 英弘 国際日本文化研究センター
班員 岩田 龍子 武蔵大学経済学部
井上  俊 大阪大学人間科学部
金児 暁嗣 大阪市立大学文学部
木村  敏 京都大学医学部
塩原  勉 大阪大学人間科学部
祖父江孝男 放送大学
高橋 三郎 京都大学教養部
星野  命 国際基督教大学教養学部
柳父  章 桃山学院大学経済学部
吉田 和男 京都大学経済学部
杉田 繁治 国際日本文化研究センター
柏岡 富秀 国際日本文化研究センター