本事業について

MISSION

はじめに

日文研は、日本文化を国際的な視野で、学際的かつ総合的に研究していこうとする研究機関です。日文研が2022 年から実施している「人文知と情報知の融合」事業は、日本研究を中心とした人文学の多様な知を共有・利活用するための基盤構築を、情報の蓄積、探索、連携などに関する情報学の知との融合により実現し、国内外の多様な学界や社会による新たな「国際日本研究」を共創することを目指します。

人文学と情報学の協働は、歴史、考古、文学、言語、芸術、宗教、地域研究などさまざまな分野の題材を扱いながら長年続けられ、今日ではデジタル・ヒューマニティーズ(DH)としてさらなる発展を遂げようとしています。それらは文書、図像などの人文学の多様な研究資源をコンピュータで閲覧・解析し、インターネットを通じて相互連携することを実現しましたが、人文学の研究者が抱える本質的な課題や問題を解決したり当該分野の変革につながるような新発見をなし得たりする研究成果は十分ではありません。そこで本事業ではもう一歩踏み込み、研究資源とともにそれらの背景にある基礎知識、分野に固有の課題、研究遂行上のノウハウといった「人文知」を、DH の成果や手法(情報知)を活用しながら、さまざまな学問分野や社会で共有するための基盤を構築し

  • 国内外のさまざまな学問分野の研究者や学生等を日本研究へ誘(いざな)うことにより、多様な連携による新たな研究領域のシーズを醸成すること
  • 研究分野以外の他業種(地方自治体、地域社会、教育機関、経済・産業界、マスメディア、民間シンクタンク)などとの連携・協働による業種を超えて研究資源や研究成果を活用すること

を促すことが狙いです。日本研究の面白さや可能性を広く伝えようとする本事業の実施にあたっては、人文学者を中心とした日本研究者による「人文知」の結集が必須であり、その結果として日本研究に新たな学問的広がりと転換をもたらすことが期待されます。今後も人文学諸分野の研究者、研究機関の協力を仰ぎつつ、本事業を展開してまいります。


主な事業内容

  • 日本研究コンシェルジュ

    日本研究者を目指す若手研究者や他分野の研究者および日本研究やその成果に興味を持つ学界外のひとびとを適切な研究資源(資料、データ、人と組織など)へ導く日本研究への入口としての機能を担います。

    双方向型コンテンツ機能
    日本研究に関する研究組織・研究者、および日文研内外の研究資料を相互に結びつけるための情報交換の場を提供します。
    ポータル機能
    Web ページ掲載用データベース、図書資料、研究者情報(NIMOU)、関連する機関や学協会、学術誌、研究助成団体など、日本研究を実施する上で必要な情報源のリストを集約したものです。
  • 技術開発/研究開発

    「情報知」を活用しながら、「人文知」を相互に連関させ、利活用するための新たな技術開発や研究開発を進めます。これらの成果は、コンシェルジュや研究資源の公開等で利活用されます。

  • 研究資源の構築・公開

    画像資料やテキストデータなどの研究資源を電子化して情報技術で扱えるようにすると共に、研究資源の背景にある基礎知識、分野に固有の課題、研究遂行上のノウハウといった「人文知」をそれらの研究資源と併せてデータ化することを試みます。

    研究資源の構築
    FAIR 原則(Findable – Accessible – Interoperable - Reusable)に則りながら、研究資源の電子化と「人文知」の連携を進めます。
    発信の多様化技術開発
    研究開発の成果も活用しつつ、「人文知」の可視化や高度利用のための仕組みを構築します。