これから祝言を挙げる花嫁と見合う場面。「うしみつや」と書かれた店先に男の化物2体が座っている。右側は赤い着物に空色の羽織、紺色の股引に雪駄姿。頭部がひどく歪み、赤い口元からは2つに割れた舌が伸びている。上がり框に右足を掛け、3本指の手には煙管を握っている。左側は花嫁を娶る婿で、柑子色の着物に灰色の羽織、扇子を持っている。髪の毛は少なく、髷を結っている。肌は浅黒く目の周りは一層黒い。口元は獣のように割れていて、尖った耳まで裂けている。奥では、店の者と思われる老婆の化物が立っている。結い上げた頭に簪を挿し、黄海松茶色の着物に高下駄を履いている。顔は青白く骨ばっていて、両目が離れ鼻が大きい。老婆が立っている店の中の台には、火鉢の形をした獣が茶瓶の湯を沸かしている。 |