日文研の話題 平成26(2014)年度

Association for Asian Studies Annual Conferenceに参加しました(2015年3月26日〜29日)

アメリカのアジア研究の学術団体であるAssociation for Asian Studies (AAS) の年次大会が2015年3月26日~29日にシカゴで行われ、日文研からフィスター教授、ブリーン教授、郭准教授、総合研究大学院大学の学生2名が参加しました。
 日文研の新たな試みとして大会の期間中である3月28日に日文研主催のレセプションを開催しました。参加者の中には以前に当センターで研究に従事した関係者も多く、研究者交流の機会になっただけではなく、日文研の活動について効果的な広報活動の場となりました。このレセプションには約100名の現地参加者が訪れ、盛況のうちに終了しました。

  • 日文研の活動についてアナウンスするフィスター教授

    日文研の活動についてアナウンスするフィスター教授

  • ブリーン教授

    ブリーン教授

  • 会場の様子

    会場の様子

  • 日文研の出版物紹介スペース

    日文研の出版物紹介スペース

第58回学術講演会―江戸を語る―を開催(2015年3月25日)

  • 講演を行う笠谷教授

    講演を行う笠谷教授

  • 活発な意見が交わされたシンポジウム

    講演を行う末木教授

  • 講演を行う早川教授

    講演を行う早川教授

 

3月25日(水)日文研講堂において、笠谷和比古教授、末木文美士教授、早川聞多教授の退任を記念し、それぞれの専門分野から、江戸の新しい歴史象、思想、江戸絵画などについて語る学術講演会を開催しました。
 小松和彦所長の挨拶の後、最初に笠谷和比古教授が「江戸時代の新しい歴史像を求めて」と題し、関ヶ原合戦の勝利により徳川幕府は260年余にわたる支配の基礎を築いたとの旧来の認識に対し、実際に獲得した領地は日本全土の三分の一で、残り三分の二の外様大名領を統治しなければならなかったことを踏まえた江戸時代の新しい歴史像について講演されました。
 続いて、末木文美士教授が「思想史からみた近世」と題し、豊かな多様性を持つ近世の思想を、中世・近代と対比しながら、その概要を捉えるとともに、安藤昌益や食行身禄など、具体的な思想家を取り上げて検討する講演がありました。
 最後に、早川聞多教授が「江戸絵画に見る表裏一体の表現」と題し、多種多様な江戸絵画から洛中洛外図屏風・舟木本、与謝蕪村の文人画「四季山水図」、鈴木春信の見立絵、そして浮世絵の春画などを紹介し、それらの内に「雅と俗」「公と私」「表と裏」が一体として表現されている意味を問う講演がありました。
 当日は、講堂のほか、特別にセミナー室に映像を配信し、合わせて600名を超える来場者は終始熱心に聞き入り、盛んにメモを取る様子も見られました。


  • 花束を贈られた笠谷教授(左)、末木教授(中央)、早川教授(右)

    花束を贈られた笠谷教授(左)、末木教授(中央)、早川教授(右)


第287回日文研フォーラムを開催しました(2015年3月10日)

  • ツヴェトコビッチ大使による講演の様子

    ツヴェトコビッチ大使による講演の様子

2015年3月10日(火)ハートピア京都にて第287回日文研フォーラムを開催しました。
 今回は、2011年12月から1年間、国際交流基金フェローとして日文研に滞在されていたこともある、現駐日マケドニア共和国特命全権大使であり、日本映画史研究者にして映画監督でもあるアンドリヤナ・ツヴェトコビッチ大使の就任を記念し、「私の日本映画研究とソフトパワー外交」と題した特別講演会が行われました。
 後半には、大使とこれまで由縁のある専門家、高橋剣 東映(株)京都撮影所製作部次長、田口栄治 国際交流基金理事、そして亀田真澄 東京大学文学部助教(現代文芸論)との座談会が行われ、日本映画に関する多様な話題で大いに盛り上がり、多くの来場者も楽しんでおられました。


駐日マケドニア共和国の特命全権大使が表敬訪問されました(2015年3月9日)

  • ツヴェトコビッチ大使から記念品を受け取る小松所長

    ツヴェトコビッチ大使から記念品を受け取る小松所長

  • 懇談後、応接室にて

    懇談後、応接室にて

3月9日(月)、駐日マケドニア共和国特命全権大使であり、日本映画史研究者にして映画監督でもあるアンドリヤナ・ツヴェトコビッチ大使が小松所長を表敬訪問されました。 ツヴェトコビッチ大使は、映画表現を通じた文化的イメージと日本の潜在意識の形を研究するため、2011年12月から1年間、国際交流基金フェローとして日文研に滞在されており、今回の表敬訪問では再会の喜びを語られるとともに今後の交流について懇談が行われ、懇談後は昨年完成したばかりの第3図書資料館を見学されました。
 また、3月10日(火)午後2時からハートピア京都で開催予定の第287回日文研フォーラム「私の日本映画研究とソフトパワー外交」では、ツヴェトコビッチ大使による特別講演を予定しています。


公開講演会を開催しました(2015年3月2日)

  • 講演を行う荒木教授

    講演を行う荒木教授

3月2日(月)日文研内講堂にて、「夢を観る/夢を聴く-夢の文化と芸術世界-」と題した公開講演会を開催しました。この公開講演会は、日文研が行っている共同研究「夢と表象-メディア・歴史・文化」の成果を一般に公表するために開催されたものです。
 井上章一副所長の挨拶の後、マルクス・リュッターマン准教授による司会で開始され、第一部は研究代表者の荒木浩教授から「夢と表象研究の展望-日本古典文学の視点から」、第二部は東欧の音楽史や民族音楽を専門とする伊東信宏大阪大学大学院文学研究科教授から「作曲された悪夢」、そして第三部は西洋近代美術史から日本美術まで幅広い研究業績を持ち文化勲章受章者でもある高階秀爾大原美術館館長から、「西洋美術における夢」と題して講演が行われました。
 文学、音楽、美術というそれぞれの芸術世界に表象された夢の世界について自在な語りが展開され、400名を超える参加者は終始熱心に聞き入っていました。


桂坂小学校で出前授業を行いました(2014年10月~12月)

日文研の地域連携活動の一つとして、小学生にも日文研の研究活動の一端に触れてもらうため、10月から12月にかけて、近隣の京都市立桂坂小学校で出前授業を実施しました。この授業は毎年実施しており、今年で19回目となります。今回は、教授や外国人研究員など計7名が、児童に関心を持ってもらえるような授業テーマを用意し、5年、6年の各4クラスを対象に行いました。

  • 5年1組授業風景/細川教授

    5年1組授業風景/細川教授

  • 5年2組授業風景/坪井教授

    5年2組授業風景/坪井教授

  • 5年3組授業風景/宮崎助教

    5年3組授業風景/宮崎助教

  • 6年1組授業風景/大塚教授

    6年1組授業風景/大塚教授

  • 6年2組授業風景/大塚教授

    6年2組授業風景/大塚教授

  • 6年3組授業風景/朴研究員

    6年3組授業風景/朴研究員

  • 6年4組授業風景/シャロンドン研究員

    6年4組授業風景/シャロンドン研究員

  • 5年4組授業風景/牛村教授

    5年4組授業風景/牛村教授

5年4組で行われた、牛村教授による授業テーマ「50m走のタイムを縮めよう」では、実演を交えてわかりやすく説明され、子どもたちも夢中になって聞き入っていました。

今回実施しました担当教員と授業のテーマは次のとおりです。

クラス 担当教員 テーマ
5年1組 細川 周平 ブラジルってどんな国?
5年2組 坪井 秀人 記憶する/忘れる動物としての人間
5年3組 宮崎 康子 「悪」ってなんだろう?
5年4組 牛村 圭 50m走のタイムを縮めよう
6年1組 大塚 英志 カードを使って物語を作ろう
6年2組 大塚 英志 サイコロをふって妖怪キャラクターを作ろう
6年3組 朴 正一 セラミックロード(陶磁器の道)
6年4組 エミリア・シャロンドン ティータイムと茶道の話

アイハウス連携フォーラムを開催(2014年12月11日)

  • 殺陣の実演を交えた座談会の様子

    王成 日文研外国人研究員(清華大学教授)による講演

12月11日(木)東京都港区の国際文化会館講堂にて、第2回日文研・アイハウス連携フォーラムを開催しました。このフォーラムは、本年度から、日文研と公益財団法人国際文化会館(アイハウス)が連携し、多角的に現代日本や日本人理解を深めるため、シリーズで開催していくもので、今回は日文研外国人研究員の王成 清華大学教授から、「越境する『大衆文学』の力-なぜ中国で松本清張が流行るのか」と題して講演が行われました。
 中国では、1980年代以降、「改革開放」によって、文学、映画、アニメ、漫画といった大衆文化は新たな展開を迎えており、特に日本文学は中国に浸透し、松本清張に代表される推理小説などが中国では多くの読者を獲得していますが、今回の講演では、中国の「大衆文学」における日本文学の受容について、松本清張を中心に文学を介した今後の中日文化交流の可能性について話が進められました。
 なお、次回は2015年2月12日(木)、日文研外国人研究員のアンドリュー・ガーストル ロンドン大学東洋アフリカ学院教授から、「江戸時代にみるユーモア、パロディ、タブー―浮世絵と春画の社会的意義」と題して開催予定です。


大学共同利用機関シンポジウム2014に参加しました(2014年11月22日)

  • 当センターの広報を行う職員

    当センターの広報を行う職員

  • 高校生を含む多くの方がお越しになったブース展示の様子

    高校生を含む多くの方がお越しになったブース展示の様子

大学共同利用機関協議会主催によるシンポジウム「研究者に会いに行こう!日本の学術研究を支える大学共同利用期間の研究者博覧会」(会場 東京国際フォーラム)のブース展示に参加しました。
 このシンポジウムは、4つの大学共同利用機関法人を構成する19の機関と、独立行政法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、国立大学法人総合研究大学院大学、計21機関の学術研究の一端を広く一般の方々に知っていただくため、2010年から毎年1回、合同で開催されています。今回は、将来の研究を担う高校生にも集まってもらえるテーマ・プログラムで開催され、昨年を上回る約360名の来場者がありました。
 ブース展示では、当センターの研究内容や研究資料データベースの説明に、多くの高校生含む来場者の方々は大変興味深く聞き入っておられました。


講演会「映画史のなかの太秦」を開催(2014年11月11日)

  • 殺陣の実演を交えた座談会の様子

    殺陣の実演を交えた座談会の様子

11月11日(火)日文研内講堂において講演会「映画史のなかの太秦」を開催しました。
 この講演会は、国際シンポジウム「新領域・次世代の日本研究」の中の1セッションとして、時代劇のエンターテイメント性や殺陣の美学に学術的な側面から光を当てて再考するために企画されたものです。
 細川周平日文研教授の挨拶の後、映画「太秦ライムライト」の脚本家でプロデューサーの一人でもある大野裕之先生から、制作の話や現在の「時代劇」観などについて講演が行われ、引き続き大野裕之先生と、「殺陣という文化」の著者の小川順子中部大学准教授、テレビ番組「水戸黄門」などで殺陣を指導されてこられた東映京都撮影所殺陣師の上野隆三先生によって、時代劇の面白さや殺陣の美学について、殺陣の実演を交えた座談会が行われ、参加した誰もが時代劇の世界に引き込まれていました。


日文研 一般公開を開催(2014年10月30日)

  • 資料展示の様子

    資料展示の様子

  • 活発な意見が交わされたシンポジウム

    活発な意見が交わされたシンポジウム

  • 教員による施設案内

    教員による施設案内

10月30日(木)に「日文研一般公開」を開催しました。日文研の研究活動・研究協力活動を広く一般の方々に知っていただくことを目的に毎年秋に実施しているもので、24回目を数える今回は532名の来場者がありました。
 当日の講堂での催しは、「日文研外国人研究員大集合-それぞれの日本研究-」、「所員の新刊図書を斬る!」、シンポジウム「再発見・京のみやこ」が行われ、来場者は熱心に耳を傾けていました。
 シンポジウムと関連した日文研所蔵資料の展示「日本・世界の古地図と木版源氏物語絵巻」では、併せて担当教員からの解説も行われました。
 この他にも、普段、一般の方には公開していない教員の研究室や図書館等の施設案内、懐かしの映画上映コーナー、データベース紹介コーナーや、来場者と日文研の風景写真とを合成した「あなたの写真入りカレンダーのプレゼントコーナー」などが催され、来場者からは、「また来たい」、「楽しかった」などの声が多く寄せられました。
 なお、海外にもインターネットのライブ放送により発信されました。(本ウェブサイトの映像ライブラリからご覧になれます。


第三図書資料館「映像音響館」竣工式を挙行(2014年10月15日)

  • テープカットの様子

    テープカットの様子

  • 内覧会の様子

    内覧会の様子

10月15月(水)、人間文化研究機構関係者、国際日本文化研究交流財団関係者及び、設計・工事関係者等の列席のもと、第三図書資料館「映像音響館」の竣工式を挙行しました。
 第三図書資料館「映像音響館」は、地上3階、床面積1,548㎡で、既存の図書館と連結しています。1階にはマイクロ資料・視聴覚資料の収納スペースを確保、2階には約6万冊が収納可能な固定の開架書を設置予定、3階にはグループ研究室・グループ視聴覚教室や資料のデジタル変換等の作業を行うための映像文化資料室を設ける予定です。
 式典では、立本成文人間文化研究機構長の挨拶(代読:平川南人間文化研究機構理事)、山田奨治研究調整主幹による工事概要・利用計画の説明、山内修一京都府副知事からの祝辞(代読:雨宮章京都府文化環境部理事)の後、テープカットが行われました。式典後、引き続き行われた内覧会、祝賀会では、列席した約40名が盛大に「映像音響館」の完成を祝いました。


第57回学術講演会を開催(2014年9月25日)

  • 講演を行う坪井秀人教授

    講演を行う坪井秀人教授

  • 講演を行う佐野真由子准教授

    講演を行う佐野真由子准教授

9月25日(木)日文研ホールにて、第57回学術講演会を開催しました。
 小松和彦所長の挨拶の後、最初に佐野真由子准教授から「徳川将軍の外交儀礼 1857-1867」と題して、幕末の日本に駐在した欧米諸国の外交官に対して行われた「徳川将軍の外交儀礼」について、儀礼の研究を通して見出される幕末外交の意義について講演がありました。
 続いて、坪井秀人教授から「和歌をうたう ―モダニズムとジャポニズムをむすぶ和歌歌曲-」と題して講演があり、西欧の芸術運動に多くの影響をもたらした和歌や俳句などの短詩形文学について、ドイツ語圏および東欧での事例を紹介しながら、それが日本本国の音楽創作にどのように環流してきたのかについても論及されました。
 前日からの雨も上がり、秋晴れの中訪れた参加者は、真剣な表情で聞き入っていました。


アイハウス連携フォーラムを開催(2014年9月19日)

  • 明石理事長による開会挨拶

    明石理事長による開会挨拶

  • 小松所長による講演

    小松所長による講演

9月19日(金)東京都港区の国際文化会館講堂にて、日文研・アイハウス連携フォーラムを開催しました。このフォーラムは、本年度から、日文研と公益財団法人国際文化会館(アイハウス)が連携し、多角的に現代日本や日本人理解を深めるため、シリーズで開催していくものです。
 第1回目となる今回は、明石康国際文化会館理事長による開催挨拶の後、妖怪研究の第一人者である小松和彦日文研所長から講演が行われました。
 現代の日本文化の一部として今ではすっかり受け入れられている妖怪。日本の妖怪文化は世界でもまれにみる豊かな内容をもっており、日本人の創造力・想像力の大きな地下水脈をなしています。その特徴や魅力が、現代の創造活動にいかに活用されているかを中心に話が進められました。
 事前に定員枠を大幅に超えた申し込みがあり、抽選で当選した約140名の参加者は終始熱心に聞き入るとともに、積極的な質問も行われました。
 なお、次回のフォーラムは12月11日(木)、日文研外国人研究員 王成 清華大学教授による、「越境する『大衆文学』の力 − なぜ中国で松本清張が流行るのか −」を予定しています。


第56回学術講演会を開催(2014年6月25日)

  • 講演を行う山田奨治教授

    講演を行う山田奨治教授

  • 講演を行う北浦寛之助教

    講演を行う北浦寛之助教

6月25日(水)日文研ホールにて、第56回日文研学術講演会を開催しました。
 当日は梅雨の中休みで晴天に恵まれ、340名の参加者は興味深く耳を傾けていました。
 井上章一副所長の挨拶の後、最初に北浦寛之助教が「日本映画の黄金期と斜陽期―テレビ産業との攻防の中で」と題し、1950年代の日本映画の黄金期から60年代の斜陽期への背景にあったのが、新興の映像メディアであるテレビの普及であり、その黄金期、斜陽期と呼ばれる時代に内部で何が起こっていたかについて講演しました。
 引き続き、山田奨治教授が「文化の法律はどう作られるべきか?―著作権を例に考える」と題し、一国の文化のあり方や日常生活に深く関わる著作権法について例をあげ、文化の法律はどのようにつくられるべきなのかについて講演しました。
 また、講演の模様は、インターネットのライブ放送により海外にも発信されました。(本ウェブサイトの映像ライブラリから、内容の一部をご覧になれます。