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人は何故、日記を記すのであろうか。言い換えれば、日記を記すことによって、日本人はいったい、何を得ようとしていたのであろうか。
文学者たちは何故、日記という形式を用いて、自己の作品を世に問うたのであろうか。さらに、貴族たちは、何故にあのような膨大な日記(古記録)を記し続けたのであろうか。
本研究においては、日本史学(日本古代史・中世史・近世史・近代史・文化史)、日本文学(日本中古文学・中世文学・近代文学)、そして心理学(臨床心理学を含む)、それぞれの分野における第一線の研究者を一堂に集め、研究会における議論を集積することによって、日記と日本人との関わりを、総合的に究明しようとするものである。
それぞれの記主の立場と記載目的、記述の内容と意義を読み解きながら、時代の特質と変化、また作品の本質を探り出し、さらには「日記」と呼ばれるものの分類や、その評価、享受史の観点など、既往の研究を超える角度からの解明も行ないたい。
その際、単にそれぞれの研究員が、自分の専門分野とする古記録(あるいは作品)に関する研究発表を行なうのみではなく、たとえば一つの古記録を題材として、異なる分野の研究者が、複数の研究発表を行なえば、どのような化学変化が生じることになるのか、本研究は、そのような実験的な試みをも、視野に入れている。
たとえば、ある古代の古記録について、政治史・社会史・経済史・宗教史など、さまざまな得意分野を持つ日本古代史の研究員による研究発表を行なうのみならず、これを日本中世史の研究者が読んでみれば、自分が日常的に読んでいる中世の古記録と比較するという方法から、新たな視点が発見できるであろうことは、言うまでもない(日本近世史・日本近代史の研究者についても同様である)。
また、日頃は仮名物の女流日記文学を読んでいる日本文学の研究者が、男性貴族の記録した古記録を読んで研究発表を行なえば、逆に普段は男性の記録した古記録しか読んでいない日本史学の研究者が、女流仮名日記を読めば、どのような影響を受け合うのか、きわめて興味深いところである。
さらに、特別に心理学の研究者と臨床心理学の研究者を共同研究員として招請する。この分野の研究者が、古記録や日記文学を心理学的、臨床心理学的に解明すれば、どのような成果が得られるのであろうか(将来的には、精神医学の研究者も招きたいと考えている)。もちろん、古記録の読解は、きわめて高度な専門知識と習練を必要とするが、現代語訳や注釈書の出ている古記録を題材とすれば、このような異分野の研究者による研究も可能となるはずである。
なお、将来的には、中国や西洋の日記との比較という視点も視野に入れている。
これらの研究発表のもたらす成果は、お互いにとっての知的刺激となるのみならず、それぞれの得意分野においても、必ずや有益な体験となり、新たな研究成果を生み出す契機となるであろうことを予測している。
3年間の研究期間の間、毎年、中間報告的に『日本研究』に研究論文を投稿した後、4年後には複数の論集を世に出したいと考えている。また、機会があれば、シンポジウムの開催も計画に組み入れたい。どのような論文、どのような論集、またどのようなシンポジウムを世に問うことができるのか、現時点では予想もできないが、日本文化の発展に関して、画期的な成果が得られる可能性を秘めた研究となり得るであろうことを述べておきたい。
| 研究代表者 | 倉本 一宏 | 国際日本文化研究センター・教授 |
| 幹事 | Timothy D.KERN | 国際日本文化研究センター・助教 |
| 共同研究員 | 蘭 香代子 | 駒沢女子大学人文学部・教授 |
| 〃 | 有富 純也 | 東京大学大学院人文社会系研究科・助教 |
| 〃 | 池田 節子 | 駒沢女子大学人文学部・准教授 |
| 〃 | 石田 俊 | 元京都大学大学院文学研究科研究員(科学研究) |
| 〃 | 板倉 則衣 | 元中央大学院生 |
| 〃 | 井原 今朝男 | 国立歴史民俗博物館歴史研究系・教授 |
| 〃 | 磐下 徹 | 関東学園大学経済学部・講師 |
| 〃 | 上島 享 | 京都府立大学文学部・准教授 |
| 〃 | 上野 勝之 | 京都大学大学院人間・環境学研究科・研究生 |
| 〃 | 尾上 陽介 | 東京大学史料編纂所・准教授 |
| 〃 | 小倉 慈司 | 国立歴史民俗博物館・准教授 |
| 〃 | 久冨木原 玲 | 愛知県立大学日本文化学部・教授 |
| 〃 | 小嶋 菜温子 | 立教大学文学部・教授 |
| 〃 | 佐藤 全敏 | 信州大学人文学部・准教授 |
| 〃 | 佐藤 泰弘 | 甲南大学文学部・教授 |
| 〃 | 古藤 真平 | 元古代学研究所助教授・元奈良文化財研究所特別研究員 |
| 〃 | 下郡 剛 | 沖縄工業高等専門学校総合科学科・准教授 |
| 〃 | シャバリナ・マリア | 京都大学大学院文学研究科・博士後期課程 |
| 〃 | 末松 剛 | 京都造形芸術大学芸術学部・准教授 |
| 〃 | 菅原 昭英 | 駒沢女子大学人文学部・教授 |
| 〃 | 瀬田 勝哉 | 武蔵大学人文学部・教授 |
| 〃 | 曽我 良成 | 名古屋学院大学・教授 |
| 〃 | 富田 隆 | 駒沢女子大学人文学部・教授 |
| 〃 | 中町 美香子 | 東京大学史料編纂所・特任研究員 |
| 〃 | 中村 康夫 | 国文学研究資料館文学形成研究系・教授 |
| 〃 | 名和 修 | 陽明文庫・文庫長 |
| 〃 | 西村 さとみ | 奈良女子大学文学部・助教 |
| 〃 | 畑中 彩子 | 学習院大学文学部・助教 |
| 〃 | 藤本 孝一 | 龍谷大学文学部・客員教授 |
| 〃 | Karel Fiala | 福井県立大学学術教養センター・教授 |
| 〃 | 松薗 斉 | 愛知学院大学文学部・教授 |
| 〃 | 三橋 順子 | 多摩大学・非常勤講師 |
| 〃 | 三橋 正 | 明星大学人文学部・准教授 |
| 〃 | 森 公章 | 東洋大学文学部・教授 |
| 〃 | 山下 克明 | 大東文化大学東洋研究所・研究員 |
| 〃 | 吉川 真司 | 京都大学大学院文学研究科・教授 |
| 〃 | 吉川 敏子 | 東海大学文学部・准教授 |
| 〃 | 近藤 好和 | 國學院大學文学部・兼任講師 国際日本文化研究センター・客員教授 |
| 〃 | 荒木 浩 | 国際日本文化研究センター・教授 |
| 〃 | 稲賀 繁美 | 国際日本文化研究センター・教授 |
| 〃 | 井上 章一 | 国際日本文化研究センター・教授 |
| 〃 | 笠谷 和比古 | 国際日本文化研究センター・教授 |
| 〃 | 鈴木 貞美 | 国際日本文化研究センター・教授 |
| 〃 | 榎本 渉 | 国際日本文化研究センター・准教授 |
| 〃 | 瀧井 一博 | 国際日本文化研究センター・准教授 |
| 〃 | Markus RÜTTERMANN | 国際日本文化研究センター・准教授 |
| 〃 | 横山 輝樹 | 元総合研究大学院大学文化科学研究科・博士後期課程 |
| 〃 | 吉田 小百合 | 総合研究大学院大学文化科学研究科・博士後期課程 |