腰蓑を着け、笹の枝の鞭を振り上げている人物は、漁師の結城宗太夫である。霊験譚によると、宗太夫は漂流中に羅刹国に流れ着き、鬼女に捕らわれていた。この画面は、空飛ぶ白馬に跨って鬼女から逃れる場面を描いている。馬は観音から遣わされたもので、逆立ったたてがみや尾が、空中を駆ける様子を表している。画面左下の岸辺に立つ鬼女は、四本の指を鉤状に曲げた手と開いた口を宗太夫と馬に向けている。これら三者は、画面右上から左下を結ぶ対角線上に配置されている。
 
廣重美術館蔵

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