中央の人物は開山の空也上人。京都市中に猛威をふるう疫病を鎮静化させるため、自作の十一面観音像を厨子に納め、台車に乗せ洛中を曳き廻っている。その装束は、法衣の上に上着をはおり、頭巾をかぶり、足袋を履いている。手には鉢をもち、右手にもった棒でその鉢を叩き、念仏を称えながら歩いている。『七十一番職人歌合』や『人倫訓蒙図彙』などに描かれる鉢扣の風俗が、本図に反映されたものである。鉢扣は瓢箪を叩き、念仏を唱えて踊る門付芸で、半僧半俗の芸能者によって演じられた。京では茶筅売りも兼ねていた彼等鉢扣が空也を始祖とすることから、本図に空也像として取り込まれたものであろう。
 
廣重美術館蔵

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