扁額中、境内図は咲き競う桜花に囲まれた清水寺本堂と音羽の滝を描く。
 画面は、平家の家臣盛久が、壇ノ浦で源義経に生け捕られ、鎌倉由比ヶ浜で打ち首にあう場面である。熊皮を敷き、経巻を広げるのは盛久である。太刀取が後ろから刀を振りかざしている。
 扁額中、境内図の清水寺本堂から、稲妻型の光が出て、刀は砕かれたように段々に折れる。まさに鋭い刃が盛久の首を刎ねようする瞬間、『観音経』に説かれる「かの観音の力を念ずれば、刀はにわかに段々に壊なけん」のことば通り折れる。この出来事が、将軍頼朝を観音信仰へと誘うのである。
 
廣重美術館蔵

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