聖宝は天智天皇の末裔で、東大寺に東南院を創建して三論を、醍醐寺を創建して密教をひろめた。また役行者を慕って大峯の修行道を整備した。
 ここでの聖宝は、山伏姿、頭巾・鈴懸衣・結袈裟をつけ笈を背に、岩に座して法螺貝を吹いている。正面には引敷をつけた侍者が、大蛇を退治したまさかりを立てて蹲踞している。
 聖宝の背後には、「醍醐味水」の高札がのぞく。背後の清流は醍醐水を意図したもののようだが、実際の醍醐水は井戸水である。聖宝の夢に、観音があらわれ、「笠取山に三世諸仏が影向し、醍醐経を加持した霊水がある。沐浴せよ」との霊告によって大蛇退治で被った蛇毒の悪瘡の苦痛から免れることができた。
 
廣重美術館蔵

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