唐僧威光上人
 紀三井寺は寺中に三カ所の霊水があるというところから、近江の三井寺に対して紀の国の三井寺という号が名づけられた。威光上人が『大般若経』を書写されているところへ突然美女が現れたので驚いて、「あなたはどこからいらっしゃった方なのですか」と尋ねたところ、その美女は清浄水の滝の中に隠れてしまった。その後、三年経って、その美女がまた現れて、法螺貝・如意香炉・迦葉の錫杖・横道木の桜等を献じて、「私は龍女です。威光上人の法徳を末永く信仰いたします」と言い残して去っていった。そこで、その時の品々は紀三井寺の宝物となり、今も存在している。それだけではなく、その時から毎年七月七日には龍燈を献ずるようになったという、不思議な霊験である。

廣重美術館蔵

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