第三十二番般若山法性寺[般若岩殿]
埼玉県秩父郡小鹿野町般若2661

宗派=曹洞宗
札所本尊=聖観音
開山=行基菩薩
開創年代=不詳


 楼門をくぐって石段を上ると、眼応(1232年寂)によって創建され、宗察(1708年寂)が中興した別当の法性寺があって、本堂には薬師如来が安置されている。
 昭和六年(1931)、当寺において室町時代の古文書が発見された。その成立年代から、『長享二年秩父観音札所番付』または『長享番付』と呼ばれている。現在とは番付が異なり、定林寺から水込まで三十三か所しかない。開創当初に近い姿を伝えたものとして、秩父巡礼研究において第一級の資料である。また、法性寺では、寛政十二年(1800)に書写された『武州秩父郡御札所之縁起』および、『秩父三十四箇所順礼観音縁起』も蔵している。
 法性寺本堂から懸崖造の観音堂までは、百メートルほど離れている。かつて鎖場だったという、岩を削ったままの段を上り、床下を通って背後から堂内に入る。観音堂の後ろには大きな岩窟があり、ここが長享二年(1488)当時、般若岩殿と呼ばれた第十五番札所である。
 行基菩薩が、この岩窟のなかに、自作の観音像を安置したと縁起では伝えている。さらに延暦年間(782〜805)、弘法大師が巡錫し、『大般若経』六百巻を書写して奉納したという。
 観音堂から奥の院へは、大きな岩の間を抜け、岩壁をよじ登る。途中の岩窟には、十三仏の石仏が並ぶ。頂上は、船が空中に突き出しているような一枚岩で、岩船山と呼ばれる。ここに岩船観音像が立ち、船尾にあたる鎖場の上にある奥の院の岩窟には、大日如来が安置されている。

朱鷺書房蔵

(C) 2001 International Research Center for Japanese Studies, Kyoto, Japan. All rights reserved