第二十七番龍河山大淵寺[月影堂]
埼玉県秩父市上影森411

宗派=曹洞宗
札所本尊=聖観音
開山=宝明
開創年代=不詳


 第二十六番岩井堂から、琴平ハイキングコースと名付けられた尾根づたいの道が続いており、小さなピークを越すと、高さ十五メートルの大観音像が現れる。秩父第七番法長寺の町田兼義住職によって、昭和十年(1935)に開眼された、コンクリートの護国観音である。高崎、大船とともに、関東の三大観音といわれている。
 長享二年(1488)当時、第七番札所で「大圓菴」と記された。旧地の特定はできていないが、この山の中腹にあって、風景が清らかで美しいため、月影堂と呼ばれていたという。江戸時代末期に、別当の大淵寺境内に移築。大正八年(1919)汽車の煤煙がもとで本堂とともに焼失し、その後は本堂に札所本尊を安置していたが、平成八年(1996)に月影堂が再建された。
 別当の大淵寺は、下吉田村清泉寺の六世長山賢道(1616年寂)によって創建、または中興された曹洞宗寺院である。
 縁起によると、昔、当地は霊場が多いところなので、宝明という回国の僧が、七年間留まった。ところが、思わぬ足の病のため、歩くこともできなくなり、ただ祈念するのみの日々が続いていた。そこに弘法大師が巡錫してきて、回国できない宝明のために、観音像を刻んで与えた。歓喜した宝明は、一人で拝むものではないとして、里人とともに堂宇を建立したという。
 山門の前を流れる細い溝は、影森用水の跡である。安政四年(1857)水源が不足して苦しむ村人のため、名主の関田宗太郎が私財を投げうって築いた水路で、周辺の田畑の開墾に利用されてきた。
 

朱鷺書房蔵

(C) 2001 International Research Center for Japanese Studies, Kyoto, Japan. All rights reserved