第十九番飛淵山龍石寺[瀧石寺]
埼玉県秩父市大畑町15−31

宗派=曹洞宗
札所本尊=千手観音
開山=不詳
開創年代=不詳


 境内に入ると、起伏のある岩盤が地表に露出している。室町時代の千手観音坐像を祀る観音堂は、荒川の近くに位置する、この巨大な岩盤の上に建てられている。
 縁起によると、昔、この地方に大旱魃があった際、弘法大師が天皇の勅によって請雨を祈願。すると、大盤石が二つに割れて龍雲が立ちのぼり、雨を降らせたとされる。以来、この寺が火災に見舞われた時には、龍が出現して雨を降らし、その難から逃れるといわれている。
 また、一説には、本尊の千手観音は、弘法大師が天皇の病気平癒のため、刻んだものという。後に、この地の住民が、悪龍の害を除こうと観音に祈願したところ、大師作の尊像が光明を放って飛来し、悪龍を退散させた。そこで、堂宇を建立して、尊像を安置したと伝えられる。
 この伝承での悪龍とは、しばしば洪水を起こした荒川を表しているのだろう。そして、治水対策の歴史が縁起として語られ、洪水から守護する観音を祀るようになったものと思われる。『新編武蔵風土記稿』には、寺宝として龍玉と龍爪を記している。
 十五世紀末に大宮郷に広見寺が創建されると、二世の東雄朔方(1493年寂)が別当の龍石寺の開山となり、末寺とした。長享二年(1488)当時は第二十一番札所であり、瀧石寺と寺号で記されているところから、すでに寺としての機能を有していたことがわかる。
 現在、龍石寺は無住のため、同じく広見寺末寺の宗福寺(本尊地蔵菩薩)が納経所となっている。

朱鷺書房蔵

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