第九番明星山明智寺[明地]
埼玉県秩父郡横瀬町大字横瀬2160

宗派=臨済宗南禅寺派
札所本尊=如意輪観音
開山=明智禅師
開創年代=建久二年(1191)


 道路に面した、明るく開放的な境内が、庶民の寺という印象を与えている。明治十六年(1883)に焼失して、長らく民家風の仮堂だったが、近年、六角の観音堂が建立された。堂の前には、室町時代のものと思われる、小さな青石板碑が三基立っている。別当は第五番と同じ長興寺だが、実際は地区で管理されている。
 長享二年(1488)当時は、第二十九番札所だった。『長享二年秩父観音札所番付』には、正観音と記したのを縦二本線で消し、異なる筆跡で如意輪と書き改めている。早い時期に、札所本尊の尊格が変更されたものと考えられる。
 行基菩薩作の如意輪観音を、明智禅師が建久二年(1191)に移入。この地に堂宇を建立したといわれる。
 当寺に伝わる明和五年(1768)写『明智寺略縁起写』には、別の縁起が記されている。寛弘年間(1004〜12)一条天皇の皇后が難産の時、主神殿に恵心僧都作の尊像を安置して祈ると、男子が難なく生まれた。その後、女人難産の苦を救うとのお告げがあって、尊像が飛び去ってしまう。勅命を受けた橘金藤が探していると、明るい星の導きにより、当地で見つけることができた。これによって、明星山という山号になった。
 以来、安産祈願の寺として知られるようになり、現在も堂内には多くの千羽鶴が奉納されている。
 

朱鷺書房蔵

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