第三番岩本山常泉寺[岩本]
埼玉県秩父市大字山田1392

宗派=曹洞宗
札所本尊=聖観音
開山=不詳
開創年代=不詳


 長享二年(1488)当時、岩本観音は第二十二番で、かつて矢行地とよばれるところの川沿いに建っていた。現在では護岸工事のため水勢をそがれているが、かつては朝日の瀑布、夕日の滝、横滝などと称する小さな滝がある景勝の地だった。
 開山を行基菩薩とする説もあるが、定かではない。現在の岩本寺が建っている矢追の地に、昔行基作の十王像が祀られていたという。ある時、十人あまりの巡礼が十王堂に参籠して祈っていたところ、岩本観音の方向から数千の矢を射るような光明が照らした。里人が様子を見にいくと、巡礼の姿はなく、矢行地に祀られているはずの観音像が坐していた。さっそく観音堂を移築し、永く尊像を安置することにしたという。矢行地、矢追の地名は、この縁起に由来している。
 別当の常泉寺は、矢追の名主堀内三右衛門が、永正十七年から天文元年(1520〜32)までかけて、現在地にあった真言宗の古堂を復興して、山田村光明寺の末寺とした。後に、矢行地にあった観音堂を境内に移し、管理するようになった。薬師如来を本尊とする本堂などの諸堂は、弘化四年(1870)の火災で焼失。安政五年(1858)に本堂が再建されている。
 観音堂は常泉寺の境内よりも一段高い位置にあり、遠くからも望むことができる。現在の観音堂は、明治三年(1870)に第十五番蔵福寺が廃寺になった際、その薬師堂を譲り受けたものである。また、境内には、長命水、不睡石、子持石などがあり、それぞれ霊験が語られている。

朱鷺書房蔵

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