当山(たうざん)は空(そら)を凌(しの)ぎし高山(かうざん)にて猶(なほ)奥院(おくのゐん)に登(のぼ)りてハ月宮(つき)の桂(かつら)も折(をり)る可(べく)深谷(しんこく)を臨(のぞ)ミては森々(しん)として結清水(むすぶのしミづ)煩悩(ほんのう)の垢(あか)を清(きよ)め岩上(がんしやう)にハ愛宕(あたご)金比羅(こんひら)を鎮護(ちんご)の神(かミ)と崇(あが)め都(すべ)て岩竇(がんとう)に弘法大師(こうぼうだいし)の護摩檀石(ごまだんせき)佛國禅師(ぶつこくぜんし)の座禅石(ざぜんせき)其外(そのほか)諸神(しよじん)諸仏(しよぶつ)の尊躰(そんたい)堅固(けんご)に並立(ならびたち)玉ふ絶景(ぜつけい)の霊場(れいじやう)也(なり)
 秩父次郎重忠(ちゝぶじらうしげたゞ)
 当国(たうごく)の住人(ぢうにん)秩父(ちゝぶ)別当(べつたう)武基(たけもと)が玄孫太郎重弘(げんそんたらうしげひろ)此尊像(このミほとけ)を信(しん)じ大檀那(おほだんな)たるがゆへ其子(そのこ)重能(しけよし)此子重忠(しげたゞ)ことに信(しん)じて験(れいげん)を蒙(かうむ)ること少(すく)なからず

廣重美術館蔵

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