住持門海(ぢうぢもんかい)
 門海(もんかい)は智徳(ちとく)勝(すぐ)れたる聖(ひじり)にて当山(たうざん)に二王門(にわうもん)を建立(こんりう)せしけるが普請(ふしん)なかばに邪気(じやき)に犯(おか)されて臥(ふし)けるが薬服(やくふく)もはか/\しく験(しるし)もなけれバ本尊(ほんぞん)に快気(くわいき)を祈念(きねん)しけるがその夜(よ)夢中(むちう)に貴僧(きそう)来(きた)りて吾(われ)よく汝(なんぢ)が邪気(じやき)を治(ぢ)さしめんと宣(のたま)へバふしぎと其坐(そのざ)へ金剛神(こんがうじん)あらハれ出(いで)て門海(もんかい)の手(て)を採(とつ)て引立(ひきたつ)ると思(おも)へバ夢(ゆめ)覚(さめ)ぬその翌日(よくじつ)より忽(たちま)ち平愈(へいゆ)しけれバ本尊(ほんぞん)をいよ/\信心(しん/\)しけるに猶(なほ)数多(あまた)の験(れいげん)を蒙(かうむ)り長寿(ちやうじゆ)を得(ゑ)たること偏(ひとへ)に当寺(たうじ)の利益(りやく)ふしぎといふもおろか也
 

廣重美術館蔵

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