当該画面は、西国第三十一番の画面と鏡像の構図をとる。
 画面登場人物は二者。いずれも舟に乗った漁夫の姿で表現されている。画面中央に立ち、編笠を被って腰簑を付けた男性が網を曳き、両手で櫂を持つ画面左端の男性が船縁から身を乗り出している。彼らの視線は、網から放射される五条の光線の源へと注がれている。霊験譚の記述によれば、二人の男性は飯沼の清六と潮来(いたこ)の長蔵という名で、鼓ヶ浦の沖で網の中に観音の霊躯を感得した漁夫たちである。
 西国第三十一番の画面では光線の源は肌守であり、当該画面では観音像となっているという相違はあるが、両者の構図は非常に類似している。
白木利幸氏蔵

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