霊験譚の記述によれば、画面の中央を占める人物は北条時頼である。彼は右手に杖を持ち、被った笠を左手で押し上げ、画面右上端へと視線を注いでいる。
 簑笠や脚絆を着け、腰に差した大小の刀の柄にも柄袋(つかぶくろ)を付ける旅姿は、天下政道のために廻国していたという霊験譚の記載に従って、時頼の姿を絵画化したことに由来する。
 しかし、通説に従えば彼が廻国したのは出家して後のことであり、当該画面は必ずしもそれらに即して絵画化されたものではない。
白木利幸氏蔵

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