この画面を構成するのは、右膝を突く若い男性と年長の男性の二者である。霊験譚の記述によれば、画面左方の若衆髷(わかしゅまげ)の男性は、三河吉田の農家の息子である源三郎であり、右方の男性は源三郎の父である。乞食(こつじき)をしながら父を捜す源三郎は、笈摺(おいずる)を着て首から順礼札を提げる姿で表現されている。画面登場人物が順礼札を提げる姿は、他に西国第七番、秩父第四番にも見られる。また、彼の左側には杖が、背後には笠が取り落とされている。
 源三郎の視線は、画面右方の父へと注がれている。彼は、両手を拡げて驚きの様相を呈している。彼らの視線は、画面右上端と左下端を結ぶ対角線上に交わされている。当該画面は、観音の霊験により父親と再会することが叶った場面を絵画化したものである。
白木利幸氏蔵

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