慈覚大師(じかくだいし)
 慈覚大師(じがくたいし)日光山(につくわうさん)より李(すもゝ)を擲(なげ)給ひしに虚空(こくう)を飛(とん)で当所(たうしよ)に止(とゞま)り一夜(よ)に繁茂(はんも)しけることを多門天(たもんてん)老翁(ろうおう)と化(け)して大師(だいし)に奏(そう)しけれバ三宝(ぼう)興隆(かうりう)の地(ち)なりとてやがて此(この)樹下(じゆか)に草庵(さうあん)をむすびて住(すミ)給ひしにふしぎの小女(をとめ)閼伽水(あかミづ)をさゝげ来(きた)るがゆへしさいを問(とひ)給へバ我(われ)ハ此(この)池(いけ)に住(す)む龍女(りうぢよ)なるが大師(だいし)の法徳(ほうとく)をたつとびけるゆへ天竺(てんぢく)無熱池(むねつち)の水(ミづ)を献(けん)ずるといひつゝ蛇躰(じやたい)を顕(あらハ)して池中(ちぢう)に入(い)りければ大師(だいし)解脱(げだつ)の法会(ほうゑ)を施(ほとこ)し給へバその法謝(ほうしや)にとて池中(ちちう)に七ツの島(しま)をうかめ外(ほか)に六ツの奇事(きじ)をあらハしたるふしぎの場(れいぢやう)なり

法楽寺蔵

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