坂上(さかのうへ)田村麿(たむらまる)
 当山(たうざん)の本尊(ほんぞん)ハ当国(たうごく)の領主(れうしゆ)吉見(よしミ)兵庫介(ひやうごのすけ)守(まも)り仏(ふつ)を岩窟(かんぐつ)に納(おさ)め置(おき)たるに延暦(えんりやく)年中(ねんぢう)北国(ほくごく)の逆賊(ぎやくぞく)退治(たいじ)のため田村丸(たむらまる)当所(たうしよ)に来(きた)りしにふしぎの夢(れいむ)によつて荊棘(けいきよく)の岩戸(いわと)をひらかしめせしに岩洞(かんどう)より光明(くわうめう)かゝやく観世音(くわんぜおん)の尊像(そんぞう)を得(ゑ)てたちどころに恭敬渇仰(ぐきやうがつこう)して夷賊(いぞく)誅罰(ちうばつ)の擁護(おうご)を祈(いの)りけれハはたして利益(りやく)を蒙(かうむ)るがゆへ帰洛(きらく)のうへ宣命(せんミやう)を奉(たてまつ)りて千歳(せんさい)の場(れいじやう)となし給ひてより日々(ひゞ)に験(れいげん)あらたかなるゆへよく人(ひと)の知(し)るところなり

埼玉県立博物館蔵

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