足立(あだち)藤九郎(とうくらう)盛長(もりなが)
 当山(たうざん)ハ役(ゑん)の小角(しやうかく)山(さん)を開(ひら)きし後(のち)慈訓(じくん)和尚(おしやう)千手(せんじゆ)の像(そう)を安置(あんち)して女人(によにん)結界(けつかい)の地(ち)とするが故(ゆへ)山のふもとに女人堂(だう)あり昔(むかし)ハ七十五坊(ばう)ありて台(たい)禅(ぜん)密(ミつ)の兼学(けんがく)にて他(た)にこゑて由緒(ゆうしよ)正(たゞ)しきを以(も)て頼朝公(よりともこう)御信仰(ごしんかう)厚(あつ)く治承(ぢしやう)三年三月伊豆(いづ)より足立(あだち)盛長(もりなが)を使(つかひ)として洪鐘(つきがね)一口(いつく)御奉納(ごほうのう)ありて天下大平(てんかたいへい)の御祈願(ごきぐわん)ありけれバ此鐘(かね)を架(かけ)し峯(ミね)を金岳(かねがおか)とあらためらるまた文治(ぶんぢ)五年五月奥州(おうしう)の泰平(たいへい)御征伐(せいばつ)の御願(ごぐわん)ありけるに軍中(ぐんちう)にて奇特(きどく)あるをもて御供料(ごくうりやう)千二百町御寄附(きふ)のうへ神社(じんしや)仏閣(ぶつかく)僧坊(そうばう)等(とう)一切(いつさい)御建立(ごこんりう)ありけること東鑑(あづまかゞミ)につまびらかなり

廣重美術館蔵

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