当山の本尊は行基菩薩が、この海中より感得して元正天皇の病気平癒を祈られた霊像である。
 昔、武蔵国多摩郡の木鉢作りの某は、五人ないし七人の村人と坂東順礼をすることを約束したが、病により約束が守れないことを苦にして亡くなってしまった。
 その四十九日に親族が集まる中、某が立ち戻ったので皆が驚いた。「わたしは秩父の僧と順礼して、那古で順礼の村人に出会ったので、門まで連れだって戻ったのだ」と述べるので、その墓を掘り返して見ると竹の杖が一本あったのは、不思議の霊験であることよ。

白木利幸氏蔵

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