当山は、伝教大師が諸国を遊歴し、この地へ闇夜の晩に来たことに始まる。当所に鎮座している熊野権現が、木こりに姿を変えて社内に伝教大師を連れて行き、夜の間中、仏法を聞いて去っていった。大師は夜が明けてから、熊野の社であることを知り、歓喜踊躍のあまりここに小庵を結んだ。故あって京に上った後、また慈覚大師が小庵に住んで観音像を作り、山城の清水の堂舎に似せて建立されたのである。

白木利幸氏蔵

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