金剛力士
 当山の霊験は多くあるが、中でも、田村麻呂が悪龍を退治したのは不思議なことである。後年、堂舎が廃れたので、二位の禅尼が頼朝公の志を継いで、天下泰平の御祈願のために、正治二年(1200)、堂坊を再建して元の姿に戻した。
 また、当国の高麗郡中山という村で、毎年天満宮の神事相撲を催していたが、中山の者が一人として勝ったことがなかった。そこで、長年の恥辱を晴らそうと当寺の観音を祈ったところ、門前の仁王が変身して中山に赴き、中山の者にまぎれて昼夜通して勝った。その翌日から身分を問わず多くの人が参詣に来たのは、天正十九年(1591)二月下旬のことであるという。

埼玉県立博物館蔵

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