ケンモン 1973年 鹿児島県 けんもんと河童は形が似ているが、けんもんには踵がない。体は子供のようで、髪が長く色が赤黒く、頭の皿には水が入っている。左耳は簡単に引き抜けるので、もし勝とうと思うなら左耳を引くと良い。けんもんは火が好きである。風のない暗い夜に松明が明滅すると、けんもんの仕業だから、後ろの方にしてやると火を受け取っていく。しばらくして振り返ると、火の見えなかった海岸に火が並んで山の方に上っていくのが見える。
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ケンモン 1973年 鹿児島県 けんもんは旧正月7日から出始める。通る道は決まっている。夜には漁に出るが、魚の目玉が好物なので、捕られた魚は皆目が抜かれている。明け方、海から帰るときは、先頭と最後尾を大きなけんもんが歩き、その間に小さなけんもんが歩いているという。
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アシマガリ 1990年 香川県 アシマガリは、夜に、足の間をあっちへ行ったりこっちに行ったりして人間を転ばす。玉川池の方にいる。
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ネンブツヅカ 1943年 岐阜県 根本の根本新田に塚がある。昔、何万人の人を生き埋めにしたところであるという。
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タキビ,(ゾクシン) 1936年 兵庫県 焚火にあたる時「煙あっち行け。火の玉こっち来い」と唱えると煙は向こう側に行き、自分のほうに火が燃える。
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クダギツネ 1955年 静岡県 クダ狐は人が戸を開けるとき一緒に入ったり、障子の穴から入ったりして、あっちこっちに行く。狐が憑いている人にはわかるが、可愛く思えて他人に告げられないという。
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ケンモン 1973年 鹿児島県 夏の夜に海岸を通るとけんもんに相撲をとろうと誘われるが、けんもんは弱いのですぐ勝負がつく。しかし、次々に何十匹もやってくるので負かされてしまうが、弱音を吐くといずこかへ連れ去られるので、負けても「勝った」と言い張る。するとけんもんは人がよいので引っ込むという。
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ケンモン 1973年 鹿児島県 砂糖小屋で寝ているときにけんもんが入ってくると、寝たふりをして足で蹴飛ばすと良い。けんもんは人間の邪魔にならないよう片隅に座り直す。これを2・3回繰り返すと最後にはどこかに行ってしまう。
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ガワタ 1991年 滋賀県 お爺さんが1人で暮らしていた。小さい子供が障子の穴から入ってきて「相撲を取ろう」といった。相撲を取ると子供は尻に手をかけてくるので不思議に思った。しばらくしてまた相撲を取ろうというので今度は尻に鍋を当てておいた。子供はまた尻に手を当ててきたが、「お爺さんの尻は金尻じゃ」といって逃げていった。
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ケンモン 1973年 鹿児島県 八木氏が名瀬と小宿の間あたりで日暮れを迎えたとき、谷間の小滝からけんもんが「火にあたりませんか」と声をかけた。見ると小さな子供のような、色は浅黒く裸のけんもんが4・5匹火にあたっていた。八木氏は耳を押さえ、眉につばを塗って走って帰ってきたという。けんもんは眉毛を数えるので、山道を通って隣村に行くときはつばをつけて眉を撫でてから行けばいいという。
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テング,(ユメノオツゲ) 1973年 三重県 昔、子供を追い出したところ、子供があんまり泣くので親が探しに行った。ところが、いくら探しても見つからない。心配しながら親がうたた寝をしていると、夢に天狗が出てきて「子供はふじの山に連れて行ったから心配するな」と言ったという。
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モーレン,モーレン,ウマツ 1985年 鹿児島県 雨がしとしと降るときに古木の作場の浜辺を見るとモーレンの怪火があっちこっちで光っているのが見える。
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ダイジャ 1982年 滋賀県 松の丸太のようなところに腰掛けて煙草を吸っていたが、お尻がむずむずする。見ると大蛇の上に座っていたのだった。大蛇を見に行く人がいたが見られなかった。
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(リンシタイケン) 1953年 埼玉県 呼び戻されて生き返った人がいた。細い長い橋があって、あっちでは「行くな」、こっちでは「行け」、と言う。迷っていたら「ケエレ」と言う声が聞こえ、戻ると気がついた。
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キツネノチョウチン 1994年 京都府 子供の時分、狐が提灯を灯すのを見たことがある。狐が提灯を灯しているという母の声に慌てて外に出てみると、はるか向こうの山すそに青白い光があっちに行ったりこっちに戻ったりしていた。
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デングマツ,グヒンマツ 1966年 山口県 テング松、グヒン松と呼ばれる、笠のような松がある。この松の木を取って使うと、頭が痛んだり家がつぶれたりする。
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トイレノオバケ 1986年 東京都 小学校のトイレの天井に穴があいていた。そこからお化けが出てきてお尻をさわる。お化けは後ろを振り向くと逃げていく。
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カナシバリ,シンダソボ 1999年 栃木県 以前、金縛りにあった。死んだ祖母が出てきて、「こっちに来い」と言われた。
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キツネ 1982年 三重県 昔山を買いに来た人がいて、夜遅くなってしまった。川の向こう岸へ行くのに浅く見えたので、川を渡ろうとした。少し行くと水が胸のところまで来てどうしても渡りきれないので、川の中をあっちこっち引っ張りまわされてとうとう一夜明かした。きっとキツネにだまされたのだということである。
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セコゴ,(カッパ) 1976年 大分県 セコゴはあっちへ行ったりこっちへ来たりするという。炭焼き小屋を通り抜けたり、船で木を伐る音がしたかと思うと飛び込んだりする。竹野浦にある福永家本家の蔵をコチコチとたたいたりしたこともあるという。
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タツ 1980年 神奈川県 松の大木の根っ子に大きな穴が開いていて、そこから水が流れ出していた。激しい嵐の日に竜が天からこの松の木に下りてきて土に入った穴で、その竜の胴体が五反田のあたりの田んぼにうずまっていると言う人もいる。
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