オサキ 1978年 群馬県 オサキモチはオサキを飼っているとされる。主人の嫉妬心や妬みを察して相手に身体的あるいは精神的被害を及ぼす。前者では憑依現象を伴い、死に至らしめることもあるが、悪寒、頭痛、めまいなどの場合もある。後者は盗難などである。いずれにせよオサキは主人の敵を不幸にし、主人を富ますと信じられていて、オサキ大尽という言葉もある。
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オサキ 1978年 群馬県 昭和45年、男の次男正(5才の子供)の様子がおかしくなり、家にこもり、N村行きのバスが通る頃になると「乗る」といって家を出ようとした。義兄の御岳行者に相談した所、親戚筋に当たるある男の家のオサキが憑いたためと診断された。一家は複雑な親族関係にあり、義兄は多くの病気や失せ物をその男の家のオサキの仕業と診断しており、対立する一家を御岳行者という立場を利用してだんだんオサキモチにして行ったと考えられる。
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クダン 1986年 和歌山県 件は頭は人間で体は牛である。件は生まれたら一言何かしゃべって死んでしまう。二度と何も言わない。それで約束事をするとき、言い直しはしないとい意味で、約束事を言った後に「よって件の如し」という。薬の広告で件の絵を見たが、薬の効き目も件の言葉同様きっと約束するということなのだろう。
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オサキ,オーサキ,オサキギツネ 1975年 群馬県 人に憑くと考えられている動物はキツネとオサキである。オサキはネズミやイタチに似た実在の小動物で、尾が長く、群をなす。耳が人間と同じような形で、後ろ足で立って人を招くともいう。しばしばオサキとキツネは混同され、オサキギツネという言い方もされる。特定の家に飼われており、飼っている家をオサキモチやキツネモチ、またアシモチ(足持ち)、ヨツアシ(四つ足)などという。持ち筋は経済的に上層にあった家が多く、通婚、交際などで持ち筋となるが、様々なケースがあり個々人の判断が大きく関わっている。
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クダン 1976年 京都府 顔が人間で胴体が牛という、件という化け物がいた。「件が今年どういうた」などと言う。
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(ゾクシン) 1916年 長野県 俗信13件。
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ツキモノ,キツネ,オサキ 1982年 群馬県 群馬県には憑物、特に狐(オサキ狐)が憑くという例が多い(以下参考文献列挙)。
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クダン 1973年 岡山県 新見市千座で、大佐町に件(くだん)が出たという。「件は予言をするが、その予言は当ると言われている」という。
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クダン 1973年 岡山県 昭和38年に調査した時の話。八束村で聞いた話では、件(クダン)が生まれ、来年6月には大戦争があると予言したという。その件は隣の川上村でうまれたとのことなので、川上村へ行くと件は中和村で生まれ、例年は大豊作だが、流行病があると予言したと言う。中和村で聞くと、件は八束村で生まれ、大風が吹くと言ったと言う。
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オサキ 1950年 群馬県 オサキは金を好み、それで金持ちになると「オサキが憑いている」と噂が立つ。しかし嫌気が差すとその家を貧乏にするので扱いづらい。釜や櫃のふちを杓子で叩くとオサキが出てくるので嫌う。家に遊びに来た者に憑く事もあり、オサキの話をすると憑くともいう。
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オサキ 1975年 群馬県 明治40年頃寺の住職がオサキに憑かれ、動物のような振舞をするなど奇怪な行動を繰り返した挙句腹を食い破られて死んだ。憑いた理由はオサキモチの家の法事に格の低い衣を来て行った事と、その家が貧しくてオサキに十分な餌を与えていなかったためである。その後稲荷社を建てて毎月供物をあげてそのオサキを養った。
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オサキ 1975年 群馬県 昭和28年、L家の3才の男子がオサキに憑かれて1週間ほど仮死状態となった。ついたオサキが強かったのでなかなか落ちず、御嶽行者が3度も祈祷をして落とした。祈祷の最後の送り出しで御幣がM家の方向に倒れたのでついたオサキはM家のものとわかった。L家とM家は土地の売買をめぐって、また事業をめぐって長年争っていた。
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イヌガミ 1996年 徳島県 集落に1・2件は犬神筋の家がある。嫁が持っていればついてくる。憑かれた人に太夫が御幣を持たせるとピョンピョンとんで、ばたっと倒れ仮死状態になった。憑かれるのはおっちょこちょいの人が多い。憑くと目つきが変わる。太夫が拝むとどこから来たか答える。予防には出雲大社がよく効くという。持っている人と喧嘩をすると追いかけられる。その家で生まれた女性は全部持っており、その家に嫁に行くとうつる。何か特別の神を祀っている。先祖のようだがよくわからない。
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キツネ 1938年 長野県 ある若い女性が行方不明になった。1月以上たってから、山奥の川の側に座っているのを発見され、連れ帰られた。
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オサキ 1978年 群馬県 オサキ事件がある。とある2人が昭和10年頃からコンニャク仲介業、昭和15年からはコンニャク製粉会社を経営したが、次第に一方(仮にA)が実権を握り最終的に工場を買い取った。2人は互いにオサキモチ、キツネモチと罵り合う関係になった。後にAの行動は専横になり、コーチの土地を勝手に道にしたり用水地の石垣を壊して裁判となったが、当時のコーチ世話人がもう一方の人物(仮にB)であった。昭和25年頃からAを廻るオサキ事件が多くなり、オサキモチと認知されるようになった。昭和28年にはBの孫がオサキに憑かれ、祈祷の最後に御幣がA家のほうに倒れたことからA家のオサキと認知された。土地を巡る争いもある。
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オサキ 1975年 群馬県 オサキといわれている動物はヤマイタチの一種らしい。なぜオサキが憑くなどと考えられるようになったかは、民俗概念において形態的に野生と動物との中間的な存在であり、また空間的にも野生動物であるのに里でうろちょろするという、分類カテゴリーからの逸脱という、2重の意味での両義性を備えているためと思われる。
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オサキ(ゾクシン) 1957年 群馬県 オサキは血縁的血統によって家につく。利益神として信仰され、オサキを飼うとか使うことによって、米や粉、蚕等を他家から持参させる。徳川期にはオサキ持が排斥されたことが文書に残されている。
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ゴンボダネ 1980年 岐阜県 ゴンボ種は戦後にはないが、木の芽時によく憑いたという。取り憑き筋(憑く方・憑かれる方、双方をさす)を中心に展開され、それ以外に憑くことは稀である。急に具合が悪くなったり、医者にかかっても治らないときは憑かれたと言った。取り憑き筋にも強弱があったという。憑こうと思っていなくても、タネの人が情をかけたり妬んだりすると憑くという。ゴンボ種に憑かれると、衰弱して惚けたようになり、歩き回る。話をすると相手の心を読み当てるという、など。
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オサキ 1976年 熊本県 オサキと呼ばれる山に入るのは、村人も嫌っていた。オサキに近寄ると頭が痛くなったり、怪我をしたり、何か恐ろしい目にあう。道が交差しているところもオサキと呼ばれている。
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インガミ 1950年 熊本県 旧久連子村では犬神持ちに憎まれたりすると取り憑かれ、高熱を発しうわ言をいう。憑かれぬ為には、筋の家の者が履いた草鞋や草履を盗んで1足づつ括り合わせ、小便所に浸し、筋の家の屋根越しに投げると良い。大抵自分が筋だとは知らず、縁組をする者はない。
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オサキ,キュウビノキツネ 1922年 埼玉県 茨城県 栃木県 昔九尾の狐が殺された時に、その尾先が飛んだが、それが落ちた家筋のものは仲間はずれにされている。特に結婚は除外されている。彼らの生活は中以上で、百姓もいれば商人もいる。「お鉢を叩くとオサキがつく」という言い習わしがあって、いったんオサキがつけば大食になり、飯を前歯で噛むようになるという。オサキを落とすには専門の行者がひきめの弓をひくという。
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