カニ,ヘビ 1990年 石川県 昔、蟹を可愛がっていた娘がいた。その父親が田んぼに水がなくて困っていたとき、田んぼに水を入れてくれたら一人娘をやるのにと独り言を言った。それを聞いていた蛇が水を一杯にして、いい男に化けて娘をもらいに来たが、家に入れなかった。夜に台所の節穴から蛇が入ろうとしたところ、娘が可愛がっていた蟹がその蛇を48に切った。それを鳥がくわえていって、落ちたところが全部池になったという。
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ヘビムコイリ 2001年 長崎県 日照り続きで困っていたとき、田に水を入れてくれる者がいたら娘を嫁にやると独り言を言ったのを、以前百姓にたすけられた蟹が聞いていた。娘を箱の中に入れて池に持っていったところ、蛇がこれを締め上げていたので、蟹は蛇を鋏でブツブツ切って殺し、百姓に恩を返した。
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カニ,ダイジャ 1990年 石川県 笠原の藤太が田んぼを作った。そこへある若者がきて、この田んぼにどうやって水を入れるのかと聞いた。藤太が弱って一夜のうちに水を入れてくれたら娘を嫁にやってもいいというと、その晩に大雨が降って田んぼに水が入った。男の正体は大蛇で、家を七回り半巻いてしめあげてきたが、娘が残り飯をやってかわいがっていた蟹が切断した。切られた蛇をカラスがくわえていき、それが落ちたところは池になった。
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カニ 1961年 京都府 7歳の少女が蟹を救う。後にその父は蛇に飲まれた蛙を救うため、娘を嫁にやる約束をする。蛇が祝言のため人間に化けて来る。だが娘に拒絶され、蛇体になって這い出す。報恩のため蟹たちが来て、蛇と相打ちになる。その蟹の冥福を祈って蟹満寺が建立された。
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ダイジャ,オオガニ 1962年 石川県 稲舟村の笠原氏は、旱魃のときに田へ水を引いてくれた者に一人娘をやると誓った。するとある男が一晩のうちに全ての田に水を引いてくれたが、実は彼は大蛇だった。主人が娘をやるのを断ると戸口から大蛇は入ってこようとした。下水に棲んでいた大蟹が大蛇を9つに切ると、死骸は9つの池となった。以降、笠原家では蟹を殺さず、また家にくぐりを用いない。
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オオガニ 1962年 石川県 山道に沿う小河の淵に久しく住む大蟹がおり、夜中に子供に化けて出てきて通行人を苦しめた。弘法大師と神明明神が協力して、烏帽子を蟹に与えて淵に埋めると、蟹は烏帽子と共に石となった。旱魃のときにこの蟹の甲石を掘り出せば、雨が降るという。
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リュウガイケ,(ヒトバシラ),オリュウ 1973年 三重県 どうしても堤が切れてしょうがなかった。そこで皆でその堤に行き、最初に弁当を持ってきたものを生き埋めにしようということになった。お龍という女中が弁当を持ってきたので、生き埋めにして生き柱にした。それ以後、堤は切れなくなったという。
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ウオウノビョウ,(ツツミヲマモルマツリ) 1976年 静岡県 伊豆の水を駿河へ送る千貫樋の堤は、年々損ずる事があった。そこで、田中丘隅がこの堤を修復し、堤の上に水を治める聖人である禹王の廟を建て、年に2度祭をさせた。祭では、近郷近在の老若男女に小石を取らせ、堤の上で踊らせた。すると、堤は大きく堅固になり、崩れることがなくなったという。
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カニ 1961年 全国 蟹の甲羅を入り口に吊り、悪魔災難よけ招福とする風習がある。蟹の中でも平家蟹、武文蟹、島村蟹、長田蟹の甲羅は人の顔に似ているので、家の入り口で悪魔をにらみ払いのけるという。
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オオガニ 1975年 愛知県 享保7年8月14日、三河国幡頭郡吉良庄富吉新田の堤が大嵐で切れた。里人が修復に向かうと、7尺ほどの大きさの甲羅を持つ蟹が出た。水門に穴をあけて住んでいたようで、その穴から堤は切れていた。この蟹を捕えようとしたが右のはさみを残して逃げた。今でも時としてこの蟹は現れる。
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オニガニ,キメンガニ,ヘイケガニ 1993年 赤間の関の合戦で敗れ入水した平家の兵たちが蟹となった。摂州では武文蟹、島村蟹ともいわれている。
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レイ,キメンガニ 1974年 讃岐の国八島の海に平家蟹と呼ばれる鬼面蟹がいる。この蟹は地方により呼び名が違い、摂津の国尼崎近在の川では島村蟹、同じく兵庫の津では武文蟹と呼ばれている。
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カイナンボーシ 1956年 東京都 カイナンボーシが七つの子をさらい、釜をかぶせて置いて、翌年切り殺した。七つの部分に切って捨てた。そこを七つ山といい、今でも七つ山からなにか出るという。
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ダイジャ 1991年 石川県 田の堤という池の奥の穴に大蛇が住んでいた。その大蛇を見てゾーッとして死んでしまった若い人がいた。田の堤もいまは干上がり、もうない。
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ヘイケガニ 1976年 香川県 讃岐国八島の浦の蟹を平家蟹と言い、平家一族の怨霊が蟹になったという。
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ガン,ダイジャ 1962年 石川県 男は干上がった田に水を張ってくれた大蛇に娘を嫁がせる約束をした。蟹(ガン)が大蛇を退治するが、今度はそのガンが童(ワロ)に化けて人を食べるようになり、弘法大師が雨乞いの神として祀った。
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ガサメ 1976年 京都府・奈良県 山城と大和の両国の渓間に擁劔蟹(がさめ)という蟹がいる。毎年10月の丑の日に群れて出る。また関中には蟹がいないので、乾かした蟹を門口に掛けて瘧除けにする。
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コウボウダイシ 1983年 東京都 弘法大師が乞食坊主になって托鉢しようと思ったが水1杯もくれない所があり、そういう所では水が出ないようにした。逆に水をなみなみとくれた所にはどんどん水が出るようにしたということである。
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オオカニ 1961年 鳥取県 伯耆の船上山麓には大松7本と7池があり、池の主は大蟹だった。ある時洪水で蟹が流され、下の池の滝壷にはさまれて死んだ。池田家ではその蟹の爪が小便壷にされていたという。
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カニ,ダイジャ 1990年 石川県 旱魃の際、田に水を入れてきれたモノに娘をやると言った。すると一人の若者がきて、一夜のうちに水を入れた。若者は輪島川の淵に住む大蛇で、娘を連れて行こうとした。娘の家を7巻巻いて戸口から入ろうとしたが、中に大きな蟹がいて、蛇を九つにはさみ切った。その骸が落ちたところは池になった。頭が落ちたところは親池と呼ばれ、笠原の家に祟りをなした。これを聞いた泰澄大師が法力をで退散させた。
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カニ 1962年 石川県 和気村では炎天が続くと鍋谷川の水源・蟹淵の主の蟹に雨乞いをする。ある夏、雨乞いの為に水戸口を切り開くと大蟹が出てきたので、驚いて鍬で蟹の足を傷つけてしまった。その後、ある百姓が湯治へ行くと、足を怪我した武士がいた。その夕、鍋谷の炭焼が山を登っていく武士に会い、何処の人かとたずねると、自分は千年前からこの上の淵に住む者だと言った。それ以来、この淵をがんぶちという。
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