まずみなさまに知っていただきたいのは、本DBは「妖怪を名前で検索するDBではない」ということです。書店に並んでいる「妖怪事典」の多くは、妖怪の名称と、その名称に対応する画像がセットで掲載されています。現在の私たちは妖怪を、そうした名称と画像の両方を備えた存在としてイメージしてしまいます。
しかし本来妖怪は民間伝承において名づけられ、その出現や行動が語られる存在であって、画像化された姿かたちはありませんでした。
一方で『百鬼夜行絵巻』などの近世以前の妖怪画には、妖怪たちの姿かたちだけが描かれ、それがどのような名称のいかなる妖怪なのかは説明されていませんでした。
そうした「民間伝承で語られる名称と行動」と「絵画に表された画像」とを結びつけたのが、鳥山石燕に代表される江戸の妖怪絵師たちです。それらの画像が昭和になってからマンガや児童図書の妖怪図鑑などで広く知られるようになり、妖怪はすべて名前と画像を持つものなのだと認識されるようになったといえます。
つまり、もともと「妖怪の名前と画像がセットで存在する」のはごくまれなことであり、ほとんどの妖怪画像は、姿かたちだけで提示された名無しの画像として存在しているのです。
本DBは、そうした「名称のない妖怪の画像を、その特徴によって検索するDB」といえます。
たとえば「三つ目の妖怪」や「お歯黒をした妖怪」などを調べるのに、今まではさまざまな資料や絵巻を一つ一つ確認していく手間がかかりました。本DBを用いて「三つ目」や「お歯黒」といった語で検索することで、簡単に画像を探し出し、比較することができます。また「踊っている妖怪」「青い肌の妖怪」「杖を持った妖怪」など、動作や色、持ち物から妖怪を探し出すことも可能です。
しかし、本DB公開後半年の間に、多くの方から「簡単に妖怪の画像を閲覧したい」というご要望が寄せられました。そこでこのたび、妖怪文化のいっそうの理解と浸透のために、広く名を知られた妖怪や、妖怪の画像に多く存在する特徴を、あらかじめ指定されたキーワードから選んで検索する「特徴検索」・「名前検索」の2つの検索方法を追加いたしました。
検索ページの「妖怪の特徴から探す」「妖怪の名前から探す」にあるキーワードをクリックすることで、妖怪画像データを簡単に探すことができます。 |